さつまいもの栄養と効能:体に嬉しい理由を徹底解説
さつまいもは秋を代表する根菜で、その自然な甘さからおかずにもスイーツにもなり、幅広く活躍する食材です。
実はさつまいもは美味しいだけでなく栄養満点。ダイエット、整腸、美肌、アンチエイジング、高血圧や生活習慣病予防など、体に嬉しい効果がたくさん期待できます。
本記事では、公的機関のデータや最新の研究をもとに、さつまいもの栄養素と効能を分かりやすく解説します。日々の食生活に取り入れたくなるポイントや、美味しく食べるコツ・レシピのヒントも紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
さつまいもの栄養素
さつまいもの主な栄養素
以下は、文部科学省「日本食品標準成分表」に基づく数値(一部抜粋)です[1]。

この比較表を見ると、さつまいもは100gあたり127kcalと低カロリーでありながら、現代人に不足しがちなカリウムを豊富に含んでいることが分かります。
しかもそれだけではありません。さつまいもには、健康維持に役立つさまざまな成分が含まれています。
特有の健康成分

さつまいもには、他の主食や野菜にはあまり見られない独自の成分が含まれています。これらは単なる栄養素以上に、体に嬉しい効果をもたらす成分として注目されています。
ヤラピン
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さつまいもを切ったときに断面からにじみ出る白い液体に含まれる成分。
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腸のぜん動運動を促し、便をやわらかくする作用があり、便秘改善に役立つとされています。
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食物繊維と組み合わせて摂ることで、整腸効果がさらに高まります。
アントシアニン
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紫芋や皮に含まれる紫色の色素成分。ポリフェノールの一種。
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強力な抗酸化作用を持ち、老化や生活習慣病の予防に期待されます。
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視力改善や血流促進など、研究で多面的な効果が報告されています。
β-カロテン
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果肉がオレンジ色の品種(例:安納芋、紅はるか)に多く含まれる栄養素。
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体内でビタミンAに変換され、皮膚や粘膜の健康維持、免疫力向上に役立ちます。
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抗酸化作用もあり、紫外線や酸化ストレスから体を守ります。
クロロゲン酸
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さつまいもに含まれる代表的なポリフェノールの一つ。
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糖の吸収をゆるやかにし、食後血糖値の急上昇を抑える働きがあるとされています。
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抗酸化作用により、動脈硬化や糖尿病予防など生活習慣病対策にも貢献します。
レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)
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加熱後に冷まされたさつまいもに増える成分。
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小腸で消化されずに大腸まで届き、食物繊維のように腸内環境を改善します。
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血糖値上昇を抑えたり、満腹感を長く保ったりする効果が期待され、ダイエットサポート成分として注目されています。
ビタミンE(トコフェロール)
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脂溶性の抗酸化ビタミンで、血行促進や細胞の酸化防止に役立ちます。
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ビタミンCやβ-カロテンと組み合わせて摂ることで抗酸化力がさらに高まり、アンチエイジング効果を強めます。
さつまいもの健康効果

整腸作用と便秘の解消
さつまいもと言えば、まずお通じを良くする効果が有名です。豊富に含まれる食物繊維によって腸の働きが活発になり、便のカサを増やして排便を促します。
食物繊維は日本人に不足しがちな栄養素です。
厚生労働省策定の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、18~64歳における1日あたりの「目標量」は男性21g以上、女性18g以上とされています[2]。
しかし実際には、平均摂取量は男性19.1g、女性17.2gにとどまっており[3]、不足が続いているのが現状です。
さつまいもには不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の両方が含まれています。
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不溶性食物繊維は水分を吸収して膨らみ、腸壁を刺激してぜん動運動を促すことで便通を整えます。
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水溶性食物繊維は腸内の善玉菌のエサとなり、腸内フローラの改善に寄与します。
さつまいも100gあたりには食物繊維が約2.8g含まれており、そのうち不溶性が1.8g、水溶性が0.9gと、両タイプをバランスよく摂取できるのが特長です[4]。
さらに、さつまいも特有の成分であるヤラピンにも注目しましょう。切ったときに包丁につく白い乳液状の液体がヤラピンで、古くから便通を助ける働きがあるといわれており、食物繊維との相乗効果で整腸作用が期待されています。
加えて、レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)も見逃せません。さつまいもに含まれるでんぷんの一部は、加熱して冷ますことでレジスタントスターチに変化します。これは消化されにくく大腸まで届き、善玉菌の栄養源となって腸内環境の改善や便通の正常化に役立ちます。
このように、さつまいもの整腸パワーは「不溶性・水溶性食物繊維」「ヤラピン」「レジスタントスターチ」と多方面から働きかけるため、頑固な便秘に悩む方にとっても心強い味方といえるでしょう。
ダイエットサポート・肥満予防
さつまいもは「甘いから太るのでは?」というイメージを持たれがちですが、適切に取り入れればダイエット中の強い味方になります。
その理由の一つが、低エネルギー密度と高い満腹感です。
さつまいもは水分と食物繊維を多く含み、可食部100gあたり約130kcal前後と主食類の中ではカロリーが低めです。さらに噛み応えがあり、自然な甘味もしっかり感じられるため、満足感が持続しやすいのが特長です。
ダイエットの最大の敵は空腹感です。強い空腹を我慢し続けると、ストレスから過食に走り、かえって失敗につながりやすくなります。その点、さつまいもは自然な甘みと食物繊維による腹持ちの良さから、空腹感をやわらげ、食べ過ぎ防止に役立ちます。
実際、咀嚼回数が増えると満腹中枢を刺激し、エネルギー摂取量の過剰を抑える効果があるとされています。日本肥満学会は『しっかりとした咀嚼は早食いの是正のみならず、満腹感覚の改善による食事量の減少、さらに内臓脂肪特異的な脂肪分解まで期待できる』と報告しています(一部抜粋)[5]。
そのうえ、さつまいもはビタミンやミネラルを含み、栄養バランスに優れているのもポイントです。
甘いお菓子の代わりに干し芋などシンプルな加工品を選べば、余分な脂質や添加糖を避けながら満足感を得られます。
以上のことから、さつまいもは肥満予防や減量中の栄養補給に最適な食材として、日常の食事に取り入れる価値があるといえるでしょう。
美肌・アンチエイジングへの効果
さつまいもは美容面でも優秀な食材です。特にビタミンC・E・βカロテンをはじめ、アントシアニンやクロロゲン酸といった抗酸化物質を多く含むため、アンチエイジングや肌の調子を整えたい方にぴったりです。
近年では、腸と肌のつながりを示す「腸–肌軸(gut–skin axis)」が注目されています。この仕組みは研究途上であり、すべてが明らかになっているわけではありませんが、腸内細菌叢が肌と相互作用していることが示唆されています。さつまいもに含まれる食物繊維や、冷めたときに生成されるレジスタントスターチは腸内細菌のエサとなり、腸内フローラを整える働きをします。こうした成分を摂取して腸内環境をサポートする考え方は「プレバイオティクス」と呼ばれています。
つまり、さつまいもの整腸作用は腸内環境を改善するだけでなく、肌トラブルの予防にもつながります。まさに「肌は腸を映す鏡」という言葉のとおり、美肌を保つためには腸内フローラを整えることが重要なのです。
高血圧・生活習慣病予防にも
さつまいもの栄養と効果は、ダイエットや美容にとどまらず、生活習慣病の予防にも役立ちます。
まず、食物繊維には糖の吸収を緩やかにする作用だけでなく、血中コレステロールを低下させる効果があります。
特に水溶性食物繊維は、腸内でコレステロールや胆汁酸を吸着して体外へ排出し、その結果、悪玉コレステロール(LDL)の減少や動脈硬化の予防につながります。
こうした作用は、心筋梗塞や脳卒中といった循環器疾患のリスク低減にも有効です。
さらに、さつまいもはカリウムが豊富であるため、高血圧の予防にも役立ちます。カリウムは体内の余分なナトリウムを排出し、血圧を正常に保つ働きがあります。特に外食や加工食品を摂る機会が多い現代人は塩分過多になりやすいため、カリウムを多く含む食品を日常的に取り入れることが大切です。
実際に、日本人のカリウム摂取量は不足しています。
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令和5年 国民健康・栄養調査によると、20歳以上の平均摂取量は1日あたり 2,224mg(男性:2,319mg、女性:2,138mg)にとどまっています[6]。
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一方で、**WHO(世界保健機関)**は成人のカリウム摂取量を 1日3,510mg以上と推奨しており[7]、大きな不足が見られます。
このように、さつまいもは不足しがちなカリウムを補えるだけでなく、食物繊維による脂質代謝改善作用も併せ持つため、総合的に生活習慣病予防に貢献する食品といえるでしょう。
まとめ

さつまいもは、栄養バランスに優れ、体に嬉しい効果が多い食材です。
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整腸作用:不溶性・水溶性食物繊維、ヤラピン、レジスタントスターチの相乗効果で便秘改善に役立ちます。
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ダイエットサポート:低カロリーで腹持ちがよく、空腹感を和らげるため、無理なく続けられるダイエットに適しています。
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美肌・アンチエイジング:ビタミンC・E・βカロテン、アントシアニンなどの抗酸化物質により、紫外線や酸化ストレスから肌を守ります。また腸内環境を整えることで、肌トラブルの予防にもつながります。
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生活習慣病予防:食物繊維による脂質代謝の改善や、カリウムによる血圧調整作用により、心筋梗塞や脳卒中などのリスク低減に役立ちます。
さらに、日本人に不足しがちなカリウムや食物繊維を補える点でも、現代の食生活において非常に価値の高い食品といえるでしょう。
甘さと栄養を兼ね備えたさつまいもは、ダイエット・美容・健康維持のすべてをサポートする頼れる食材です。日々の食事に取り入れることで、体の内側から健やかさと美しさを引き出してくれます。
参考文献
[1]文部科学省「食品成分データベース」(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年対応)、最終更新:2023年8月16日、参照日:2025年9月3日、https://fooddb.mext.go.jp/
[2] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会報告書」、最終更新:2019年12月24日、参照日:2025年9月8日、https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html
[3] 厚生労働省「令和4年 国民健康・栄養調査結果の概要」、令和4年度(2022年)調査、最終更新:2024年8月、参照日:2025年9月8日、https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001296359.pdf
[4] 文部科学省「食品成分データベース」〈さつまいも(皮つき・生)の食物繊維(Prosky法)〉、日本食品標準成分表(八訂)増補2023年対応、最終更新:2023年、参照日:2025年9月8日、https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=2_02045_7&MODE=8
[5]日本肥満学会「肥満症診療ガイドライン2022」、2022年12月2日発刊、全文公開:2023年4月、参照日:2025年9月8日、https://www.jasso.or.jp/contents/magazine/journal.html
[6] 厚生労働省「令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要」、令和5年度調査、最終更新:2024年(PDF)、参照日:2025年9月8日、https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001338334.pdf
[7] World Health Organization(WHO)「Guideline: Potassium intake for adults and children」、2012年、参照日:2025年9月8日、https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK132470/pdf/Bookshelf_NBK132470.pdf